普段着の食生活を象徴するブンは、庶民の大切な糧。
朝の買い物帰りに市場の屋台で女性たちが食べるものは、フォーではなくてブン。ベトナムの人々の生活を眺めると、ベトナム麺として有名なフォーより、ブンのほうが日常に根ざしているようです。実際、ブンのほうがフォーより3、4割安く、牛骨のダシを1日がかりでとるフォーボーに比べ、ヌォックマムと唐辛子とレモンなどでチャッチャッとタレを作って和えるだけのブンは、家庭でも慣れ親しんだ味わいです。
ブンはそもそも米粉の押し出し麺で、いわゆるビーフンの類。製麺時にゆであげたあとはせいぜいさっと熱湯に通すくらいで、つけ麺にする時など食べやすい大きさにハサミで切る程度の調理法です。それにぐやタレを添えるだけのメニューも多く、手軽です。
また、ブンはいたみも早いので、生ブンを買うときは、ピーンとしまった白色で、匂いが酸っぱくなく、乾いていないものを選び、すぐ食べるのが良いです。
(写真は、たっぷり野菜添えのタニシ入りブンオック)
(1) ブンタン。切り干し大根と錦糸卵が鮮やか。
(2) たけのこ入りのブンマン。
(3) 精進料理のブンチャイ。仏教徒は毎月1日と15日は、生き物を食べない。
(4) ハノイ名物ブンチャーネムザン。揚げ春巻きに肉団子とボリューム満点。南部ではブンチャージョーが類似品。
(5) 甘めの焼き肉のせブンボーナンボー。
(6) 中部フエ名物の激辛ブンボーホエ。
(7) 具沢山の炒め麺ブンサオ。