タイの麺料理(クイティアオ、バミー、カオソーイ)

バラエティ豊かなタイの麺 ?種類×料理法でみごとに変身?

タイの麺の種類
タイの麺の種類

麺の種類

タイの麺は非常に種類が多く、麺料理を逐一見ていったのでは、訳がわからなくなってしまいます。そこで、タイの麺の全体像を把握するために、麺の原料から区別してみましょう。

「米の麺」と「小麦粉の麺」、まずはこの2種類に分けられます。緑豆などのデンプンを使ったウンセン(春雨)もありますが、おかずに使うものなので、ここでは麺に含めないことにします。
なお、タイ語には日本語の麺に当たる言葉がありません。米を原料にしたものを「クイティアオ」と呼びますが、狭義には小麦粉を原料にしたものはこの名で呼びません。

米の麺、クイティアオは、水をつけた米を臼でひき、ドロドロの状態にするところまでは作り方は同じでが、次のような種類があります。

センヤイ (1)
ドロドロの米の汁をシート状に蒸し、1?3cmの幅に切った生麺。
センレック (2)
センヤイと同じように作るが、幅1mmくらいに切り、乾麺にする。
センミー (3)
日本人にもなじみのあるビーフンのこと。切って作るのではなく、スパゲッティのように生地を押し出して作る。
カノムチーン (4)
生のビーフン。日本人にはひやむぎのように見えるが、歯ざわりはもっとネットリしている。
(この麺はタイの麺文化史上特異な存在なので、後ほど詳述。)

一方、小麦の麺には、日本のラーメンの麺に似た、「バミー (5)」があります。ラーメンの形状に様々な違いがあるようにバミーにも数種類ありますが、ここでは省略します。

料理法

次に麺を料理法で区別してみましょう。

汁そば
丼に茹でた麺を入れ、汁を注いだもの。
対応麺:(1)(2)(3)(5)
和えそば
茹でた麺を丼に入れ、ナムプラーや油で揚げたニンニクとその油などを和えたもの。汁は入れない。タイに限らず中国でも一般的な食べ方。
対応麺:(1)(2)(3)(5)
炒めそば
具と一緒に炒める場合と、麺を先に炒めて、後からあんかけ状に具をのせるものがある。
対応麺:(1)(2)(3)
揚げ焼きそば(かた焼きそば)
麺を油で揚げて、あんかけ状の具をかける。
対応麺:(5)

(4)のカノムチーンだけが、上記のどの料理法にも対応しませんが、カノムチーンは、次のようにして食べます。

  1. 丼を使わずに、1つまみのカノムチーンを皿に盛る
  2. ご飯にカレーをかけるような感じで、1の上に唐辛子をが大量に入った汁をかける
  3. 生野菜や香草類を大量にのせる
  4. すべてをよく混ぜて、れんげで食べる。

特異なカノムチーン

「丼を使わない」、「唐辛子が大量に入ったスープ」、「生野菜や紅藻類を大量にのせる」、「れんげで食べる」。これらの点は、他のタイの麺と比べて、カノムチーンの際立った特徴です。タイの麺が歴史的にどのくらい遡れるか定かではありませんが、おそらく大量の中国系移民がタイに流入する18世紀末ごろからと考えられます。今でも麺料理には中国文化の影響を色濃く残しており、普段、タイ人は料理を手かスプーンとフォークで食べますが、麺類、特に汁そばを食べるときは、箸を使います。

中国系移民も2世3世になれば、多少事情も異なりますが、一般的には辛い料理はあまり食べません。麺料理に好みで唐辛子を加える事はあっても、初めから辛い汁をかけることはありません。そもそも麺専門店の多くが立派な店舗を構えるのに対し、カノムチーン専門店は、もっぱら屋台や行商のスタイルです。

こうした食べ方や料理法の違いを併せ考えると、カノムチーン他の麺よりもずっと昔からタイにあったのだろうと想像できますが、では、そのずっと昔というのがいったいいつごろなのか、タイ人の研究科にも分かっておりません。

タイ人と麺料理

タイの人にとって、麺料理は外食するもので、家庭で作る料理ではありません。インスタント麺が普及して、今では家庭でも麺を食べるようになりましたが、日本人が家庭でうどんを食べるように、汁を家庭で作る上なことはしません。

非中国系のタイ人が箸を使うようになったのは、麺食、外食が定着して以降の話ですが、田舎から都会に出たばかりの若者は、まだうまく箸が使えない人も多いそうです。

なお、米を主食とするタイ人にとって、麺は軽食の意味合いが強い食べ物です。汁そばにしても日本のラーメンの半分ほどです。一方、都会の肉体労働をしない女性や若者たちには、米食もまた軽食扱いです。屋台や飯屋の一人前の飯の量は茶碗に1杯ほどです。