バラエティ豊かなタイの麺 ?種類×料理法でみごとに変身?
更新日:2022年06年10日
タイの麺は非常に種類が多く、麺料理を逐一見ていったのでは、訳がわからなくなってしまいます。そこで、タイの麺の全体像を把握するために、麺の原料から区別してみましょう。
「米の麺」と「小麦粉の麺」、まずはこの2種類に分けられます。緑豆などのデンプンを使ったウンセン(春雨)もありますが、おかずに使うものなので、ここでは麺に含めないことにします。
なお、タイ語には日本語の麺に当たる言葉がありません。米を原料にしたものを「クイティアオ」と呼びますが、狭義には小麦粉を原料にしたものはこの名で呼びません。
米の麺、クイティアオは、水をつけた米を臼でひき、ドロドロの状態にするところまでは作り方は同じでが、次のような種類があります。
一方、小麦の麺には、日本のラーメンの麺に似た、「バミー (5)」があります。ラーメンの形状に様々な違いがあるようにバミーにも数種類ありますが、ここでは省略します。
次に麺を料理法で区別してみましょう。
(4)のカノムチーンだけが、上記のどの料理法にも対応しませんが、カノムチーンは、次のようにして食べます。
「丼を使わない」、「唐辛子が大量に入ったスープ」、「生野菜や紅藻類を大量にのせる」、「れんげで食べる」。これらの点は、他のタイの麺と比べて、カノムチーンの際立った特徴です。タイの麺が歴史的にどのくらい遡れるか定かではありませんが、おそらく大量の中国系移民がタイに流入する18世紀末ごろからと考えられます。今でも麺料理には中国文化の影響を色濃く残しており、普段、タイ人は料理を手かスプーンとフォークで食べますが、麺類、特に汁そばを食べるときは、箸を使います。
中国系移民も2世3世になれば、多少事情も異なりますが、一般的には辛い料理はあまり食べません。麺料理に好みで唐辛子を加える事はあっても、初めから辛い汁をかけることはありません。そもそも麺専門店の多くが立派な店舗を構えるのに対し、カノムチーン専門店は、もっぱら屋台や行商のスタイルです。
こうした食べ方や料理法の違いを併せ考えると、カノムチーン他の麺よりもずっと昔からタイにあったのだろうと想像できますが、では、そのずっと昔というのがいったいいつごろなのか、タイ人の研究科にも分かっておりません。
タイの人にとって、麺料理は外食するもので、家庭で作る料理ではありません。インスタント麺が普及して、今では家庭でも麺を食べるようになりましたが、日本人が家庭でうどんを食べるように、汁を家庭で作る上なことはしません。
非中国系のタイ人が箸を使うようになったのは、麺食、外食が定着して以降の話ですが、田舎から都会に出たばかりの若者は、まだうまく箸が使えない人も多いそうです。
なお、米を主食とするタイ人にとって、麺は軽食の意味合いが強い食べ物です。汁そばにしても日本のラーメンの半分ほどです。一方、都会の肉体労働をしない女性や若者たちには、米食もまた軽食扱いです。屋台や飯屋の一人前の飯の量は茶碗に1杯ほどです。